済州島のサムギョプサル
ホームパーティをよく開く。
タイ料理、手巻きずし、香港炊き込みご飯、ホットプレートパエリア、串揚げなどなど。
中でも評判の良い料理は、サムギョプサル。ホットプレートを使って焼くだけなので、準備しておけば、途中で席を立って料理をしたり、サーブする手間がいらず、簡単。取り皿もそれぞれ皿一枚で事足りるので洗い物も少ない。
OL生活にくさくさしていて、2018年、19年は週末弾丸旅行をしまくっていた。日帰り台北、1泊4日バンコク、ベトナムに、韓国、週末香港は4回、国内はちょっと。
航空会社のセールをチェックして、ほぼ底値でチケットを予約し、あと何日で旅行に行けると指折り数え、毎日を乗り切っていた。
初めはソウルに行こうと思っていた。4回行ったことがあるし、なんとなく土地勘がある。美味しいものを食べて、垢すりでもして、1泊2日はちょうどよい。
セール情報をチェックしていたら、済州島往復税込11千円のチケットを見つけてしまった。
済州島は韓国の有名な黒豚の産地らしい。それならば、サムギョプサルを食べに行こう!
土曜日の朝、成田11時15分発の飛行機に乗り込み、2時間ちょっと後に済州島に到着。2時間ほどのフライト時間は週末弾丸旅行にぴったり。
空港内の両替所で友人と二人で2万円だけ両替し、タクシーで予めインターネットで見つけておいた新済州「トンサドン」に向かう。地元の人で賑わう人気店らしいが、街中ではなく、畑が続く大通りの先にあった。貧乏旅行なのに、バスではなくわざわざタクシーに乗ってまで行きたかったのだ。
着いたのは3時前。広い店内には私たちの他には地元の家族連れ3組しかいなかった。それなのに店員さんは3人いて、付きっきりでお肉を焼いてくれた。
頼んだのは、「ロースト皮つき5枚肉の黒豚セット」。
大きな固まり肉を目の前のコンロでじーっくり焼いてもらっている間、お代わり自由のキムチとスープを食べてゆっくり待つ。お腹がペコペコで、目の前からはいい香りがするのでなかなかの地獄だったが、キムチはどれも美味しく、エゴマのキムチは3回お代わりをしたくらい。
味付けは、ネギソース、コチュジャンの他に、コンロの上でじっくり煮詰めたソースの3種。そのソースは済州島で作られるイワシの塩辛(店員さんはアンチョビと言っていた)とニンニクと唐辛子、韓国焼酎を煮詰めたもの。わたしはこれが食べてみたかったのだ。
島の名産だけあって、お肉がとても美味しい。2種類のお肉が盛合されていて、肩肉はさっぱりとしたお肉の旨みが楽しめ、皮つきの5枚肉は皮のゼラチン質のむっちり感と脂の甘味が味わえた。
それに塩辛ソースを付けると、さらに旨みが加わり、ずっと食べられる。
ビール2本を飲んで、お肉をお腹いっぱい食べて(その後一晩中お腹がすかなかった)、60000ウォン(6000円)位。家の近所(新大久保)にあったらいいのに。4時前には店内は満席になっていた。
済州島ではかなり昔から豚を各家庭で飼っていたから、豚が有名なんだそう。伝統的な家屋ではトイレと豚の飼育場所が同じで、ようは人間の排出物を食べてたとのこと……。済州島出身の駒込の大好きな焼肉屋のお父さんが酔って、昔は貧しくてご飯とキムチと焼き魚だけのご飯で、オカズがずらっと並ぶなんてのはソウルとか都会だけのことだと話くれたことがある。
市場を回って、イワシやエビの魚醤や、写真を撮るとハレーションが起きるくらいギラギラの銀色に輝く太刀魚、特産のみかん、キムチなどを見て回る。とにかくいろんな食材が並んでいる。四方を海で囲まれているので海の幸はもちろん、その他にも黒豚、黒牛、雉、馬などの肉類、野菜、山菜、キノコなどの山の幸もたくさんあった。とにかく食べ物の屋台ばかりずらーと並んでいた。済州産のゴマをお土産に購入。
済州島は火山でできた島で世界自然遺産もある。現在では韓国のハワイと言われ、観光地となっているが、なかなかの悲しい歴史がある。もともとは独立国家だったが、百済、高句麗、新羅の各国と交易を行い、日本や中国・唐と外交が古くからある。なかなか統治されることも多く、戦前は日本統治されていたこともある。そういう歴史もあり韓国本土との食文化とは少し異なっているそう。
おしゃれなカフェでコーヒーを飲んだり、ブルワリーで自家製ビールを飲んだり、サウナに泊まったり、世界遺産の鍾乳洞にバスで行って、次の日の夕方の便で成田に帰って、そしたら、次の旅に向けて準備を始める。済州の料理みたいにいろんなところのテイストを混ぜたいから。
帰ってから焼肉屋さんのお父さんにおしゃれなお店が沢山あったよと伝えたら、それは済州島出身者じゃないと言っていた。
<サムギョプサル>
豚バラ肉(かたまり) 適量
キムチ(発酵が進んで酸っぱいもの) お肉の半分量位
野菜(ジャガイモやナス、きのこなど)
葉野菜(サンチュ、サニーレタス、エゴマなど3~5種)
<魚醤ソース>
アンチョビもしくはナンプラー 大さじ1
焼酎 大さじ1
ニンニク 1かけ
唐辛子 適量
<ネギソース>
ネギ 1本
ごま油 大さじ2
塩 小さじ2
①魚醤ソースはニンニク、唐辛子をみじん切りにして、全部混ぜて耐熱容器に入れておく。
②ネギソースは、ネギをみじん切りにし、全部混ぜる。
③豚バラ肉は、厚めにスライス(細かくは焼いてからはさみでカットする)
④ホットプレートで、肉・キムチ・野菜をじっくり焼く。①のソースも鉄板の上で煮詰める。
⑤肉が焼きあがったらハサミで食べやすい大きさに切って、キムチや焼いた野菜と一緒に葉野菜で巻いて、好みのソースを載せて食べる。
ポイント
※とにかくおいしい肉を使うこと。
※甘ったるくないキムチを使うこと。発酵が進んで酸っぱくなっているものを使うこと。
※葉野菜はパクチーやミント、バジルなんかを使っても美味しいし喜ばれるけど、ちょっと別の食べ物になる。